クレジットカード決済の導入を行っていない店舗にとって、現金主義で経営をする最も大きな理由は、クレジットカード決済手数料が高額な点が挙げられます。個人店で従業員を雇わずに家族経営している店舗にとって、クレジットカード決済時の手数料は数%であっても次回の仕入れに響くほどの金額となりかねません。特に日本国内ではカード決済手数料が高額な傾向が強いので、クレジットカードの普及が進まない原因となっています。

クレジットカードは手数料収入で成り立っている

クレジットカード決済比率が全体の20%程度と低い傾向は、マスメディアにより先進国の中で特に低いとされていますが、果たして本当でしょうか。なぜなら、ベルギーのようにクレジットカード決済がほとんど行われていないヨーロッパの国があり、僅か数%の決済比率しか無い国が珍しく無いからです。実は、海外のクレジットカード決済は後払い式ではなくデビットカード決済が中心であって、翌月払いのクレジットカードが必ずしも多く利用されているとは限りません。このため、全取引額に占めるクレジットカード決済システムの利用割合は欧米で高いものの、クレジットカードに限定すると決して高い国ばかりでは無いわけです。

日本でクレジットカードが普及しない最大の原因は高額な手数料にある

中国でQRコード決済が急速に普及してキャッシュレス決済が増えた理由は、QRコード決済手数料が僅か0.25%~0.5%程度と極めて低い手数料が設定されているからです。日本国内で発行されているクレジットカードは、カード決済手数料が3%~8%程度と高額となっていて、一部の大規模店舗以外はクレジットカードの手数料が経営を圧迫している現状があります。よくある例として、次のようなパターンを想定してみるといかに加盟店にとって高額な手数料となっているかが分かります。

月間売上300万円利益率12%の飲食店は利益の1/3をカード決済手数料で持って行かれる

例えば、月間売上300万円の小規模飲食店が全てカード決済手数料平均4%のクレジットカードで支払われたとすると、利益率が12%という飲食店では比較的好調な場合であっても利益12%の1/3に相当する4%がカード決済手数料として消えます。現金払いならば36万円の利益が挙がったはずの所を、4%のカード決済手数料により12万円をクレジットカード会社に徴収されることになって手元に残る利益は僅か24万円です。実際には利益率10%前後の店舗が多いので少し経営状態が悪化しただけですぐに黒字倒産の懸念が生まれることになります。夫婦2人だけで経営しているような小規模店かつ良心的な価格の店舗ほど、現金払いに戻す店舗が増えてしまうわけです。

クレジットカードの手数料を比較してみよう

クレジットカードの手数料は、業種や売上額に応じて各店異なる割合となっています。上場企業が経営している大手スーパーやコンビニは、取り扱い額が多くカード会社としても回収見込みが高いために1%~1.5%といった極めて定額なカード決済手数料で済みます。しかし、風俗店といった業種に対してはカード決済手数料を15%~20%という高額設定としていることが珍しくありません。また、同じ業種であってもVISAやMASTERは複数のアクワイアラと呼ばれるカード決済加盟店を募集する専門業者が競争しているので、平均的に3%~5%程度のカード決済手数料で済んでいます。JCBについてはカード発行会社であるイシュアとカード加盟店取りまとめ会社のアクワイアラを兼ねていて競合がいないために平均5%~8%という高めのカード決済手数料となりがちです。このため、カード決済手数料をなるべく少なくしたいと考えている販売店は、VISAやMASTERブランドのみに対応していてJCBカードは使えないというアクワイアラの選択を行っています。

クレジットカードはアクワイアラとの力関係で手数料が変わる

クレジットカードは、カード加盟店を開拓して取りまとめるアクワイアラとの力関係により、カード決済手数料に違いが生まれています。アクワイアラと加盟店は契約することにより、クレジットカード発行会社と個別に契約しなくても国際決済ブランドが付いたクレジットカードなら、アクワイアラが対応している国際決済ブランドに限りどの会社のクレジットカードでも対応可能です。海外では原則としてイシュアとアクワイアラは別となっていますが、日本国内ではクレジットカード市場が小さいために三井住友カードグループのようにイシュアとアクワイアラを兼ねていることがあります。カード加盟店は、加盟店料を支払った上でアクワイアラと契約することになるので、既に契約時にカード決済手数料の交渉が出来ることを知らない店舗経営者は損をしていることになります。

クレジットカードの手数料は加盟店規約で利用者へ請求出来ない

クレジットカードの決済手数料は、加盟店規約によりクレジットカード利用者へ請求出来ないことが明記されています。現金購入者と同じ金額でクレジットカード決済利用時も販売しなければならないわけです。販売店にとっては、カード決済手数料は販売店が自腹で負担しなければならず、総売上に占めるクレジットカードの利用率が増えるほど店舗の利益を圧迫される事態に陥ります。では、カード決済手数料を利用者へ請求するとどのようなことが起きるのでしょうか。

加盟店にとっては利益の数割を手数料で徴収される結果となる

クレジットカード加盟店は、店舗の売上をアップさせるための手段として、手持ちが少ない利用者へすぐに商品販売を行い売上そのものが大幅にアップすることを狙ってクレジットカード決済システムを導入します。利用者にとっては、クレジットカード決済なら小銭を用意することなくポイントも貯まるので、現金と同じ金額で買い物が出来るからこそ便利と感じるわけです。しかし、クレジットカード加盟店の中には、カード決済手数料3%~8%という金額自体が、店舗の利益の過半数を占める金額となってしまうと、なるべくクレジットカード決済を利用せずに現金払いをして欲しいと思うようになります。店舗を訪れた顧客が現金とクレジットカードを使っただけで店舗に入るお金に違いが生まれるからこそ、売上がクレジットカード導入により倍増でもしない限りメリットは少ないわけです。結果的に現金払いを誘導するために、クレジットカード会計時にカード決済手数料を上乗せして払ってもらうことで節約志向の利用者には現金払いを促そうとします。

もしクレジットカード利用手数料を上乗せされたらカード会社へ通報しよう

クレジットカード加盟店規約で禁止されているカード決済手数料を上乗せ請求されたら、その場で断るか現金払いを行えば問題有りませんが、手持ちの現金が少ない場合には一旦上乗せ請求に応じてクレジットカード会社へ通報する方法があります。クレジットカード加盟店は、カード会社からの指導により返金処理を行うことになりますが、同時にクレジットカード決済の継続有無を販売店に促す結果にも繋がります。後日訪れた時には、現金決済専門店となっていることがあるので、カード会社への通報を行う権利はありますが2度と利用しづらい状況となりかねません。クレジットカード決済手数料を請求されたら、その場で店舗へ注意を促してその場は現金払いを行うことがスマートな方法です。

クレジットカード決済手数料を下げたいならアクワイアラを比較して乗り換えよう

クレジットカード利用者にとっては、利用可能なクレジットカードの種類が増えることが望ましいですが、販売店としてはカード決済手数料負担が重いのでなるべく上乗せによる規約違反を避けるためカード決済手数料の減額を模索します。

アクワイアラはなぜ手数料に差をつけるのか条件を比較すれば理由が分かる

アクワイアラは、膨大なカード加盟店との取引データを保有しているので、店頭にてカード決済が行われた時に最終的な利用者からの回収率に差があることを知っています。このため、業種ごとにカード決済手数料に差をつけることで加盟店審査が通るように工夫しているわけです。しかし、アクワイアラは加盟店の拡大が本来の目的ですが、同時に利用者からのカード決済手数料上乗せに関する苦情処理も行わなければなりません。そこで、アクワイアラ同士で営業をかける際にカード決済手数料の割引を条件として、カード決済手数料の値引きに応じているわけです。VISAとMASTERブランドについては、1つのアクワイアラで両方取り扱いがあり、複数のアクワイアラの中から最も条件が良い会社と加盟店契約を結べばカード決済手数料を上乗せしなくても経営に響きにくくなります。

海外ではクレジットカードサーチャージを合法としている国がある

クレジットカード利用者にとって、全ての店舗についてカード決済手数料を上乗せ請求することが利用規約違反と勘違いすると、海外で利用する際に大恥をかくことになりかねません。日本国内ではクレジットカード決済手数料が高くカード決済手数料を利用者へ転嫁することは加盟店規約により禁止されていますが、法律には反していません。しかし、海外ではクレジットカードサーチャージとして法律で手数料は利用者が払うことになっている国もあるので、日本国内と海外では事情が異なることを理解しておく必要があります。

為替手数料は別途請求出来る

海外でクレジットカードを利用する際に、利用者へ販売店やカード決済代行会社が手数料を上乗せ出来るものとして、為替手数料を忘れてはなりません。為替手数料は、現地通貨での決済を行う際に発生するものであって、利用時と請求時の為替相場による差が発生することが原因です。現地通貨での支払いが出来る預金口座でクレジットカード決済しているなら支払う必要がありませんが、日本人が日本国内発行のクレジットカードを海外で使用した際には、為替手数料の請求を免れることは出来ません。なぜなら、為替手数料を支払うことで現地通貨を自分で調達して支払うことを免除されているからです。

クレジットカード決済手数料は日本国内では上乗せ請求が禁止されている

クレジットカードを使うと現金と同額でありながら、ポイントが付与されてお得に感じている人が多いです。しかし、クレジットカード決済手数料をカード加盟店が自腹を切って負担していることを考えれば、中にはカード決済手数料を上乗せ請求してしまう店舗があります。カード会社へ通報することが出来ますが、クレジットカードの手数料が思いの外重いことを知って小規模店では臨機応変にクレジットカード払いと現金払いを使い分けることも思いやりの1つです。